ネックねじれ修理

ネックねじれ

写真は60年代ES-335をアンプに立て掛けて、ヘッド上から下に見下ろして撮ったところです。ヘッド平らな面が左下に傾いているを確認できると思います。これは完全にネックの付け根から徐々にねじれています。こうなりますと、ネックを順反りにして弦高をかなりあげなく弾き辛いこと間違いなしです。こういった不具合でもネックアイロンにて直ります。

ネックアイロンセット指板側
ネックアイロンセットヘッド側

スペーサーを使ってネックアイロンをセットしクランプを適度なトルクで締めていきます。ネッアイロンをかけるサーモが効く温度と時間は、今まで取ってきたデータを参考にして決めます。

ねじれ修理完了

写真でもわかりますが、ボディトップ面に対して並行になりました。1〜2週間ギターハンガーに吊るしておきましたが、ねじれていた時の状態に戻ることはありませんでした。あとは、フレット擦りあわせて完成です。このようなことで、お悩みの方も直りますので、ご安心ください。

ギター塗装繁忙期

2022年11月からギターのリフィニッシュの依頼が多くなり、ピーク時にはお陰様で10本にもなりました。特にレスポールのサンバーストが多く、これもブログに掲載して記事の影響ではないかと思います。改めてありがとうございます。そしてこの繁忙期にご依頼されて納期の遅れが出て大変申し訳ございませんでした。ご依頼のイメージどおりに仕上げる為でもありました。今後も妥協を許さず努力していきますので、よろしくお願いいたします。

下の写真はリフィニッシュ完了待ちのケースです。

リフィニッシュ完了待ちのケース達

ネックアイロン修正のご依頼

最近「トラスロッドを締め切っても、まだネックが反っている」、「トラスロッドが無く調整できないギターで反っている」などのネックに関するお困りの方からのご依頼が多いです。今まで何度か当工房のブログでネックアイロンの記事を載っけてからすごく増えていますね。ネックが順反りの場合10フレットあたりで、弦とフレットの距離が空いて弾きづらくなります。いわゆる弦高が高くなりますので、だいたいの方はブリッジのサドルを下げて弦高を低くします。このやり方ですと、10フレットの弦とフレットの距離は短くなりますが、最終フレットの弦とフレットの距離は10フレットあたりの距離より低くなるので、12フレットあたりから17フレットあたりまでで、ビビったりチョーキングをすると音がつまってサスティーンが無くなったりします。トラスロッド調整で反りが直らない場合は、曲った木をネックアイロンを使い強制的に熱を加えて逆に曲げて固めていきます。何日か経ってネックアイロンを外すと圧がなくなり多少戻りがあるので、そのことも計算に入れてやります。

写真は今までのネックの反りにネックアイロンで修理した実例の中のほんの一部です。実際にはこれ以上ありますが、順反り、逆反り、1弦側と6弦側の反り方が違うねじれ、ボディの付け根から曲がる元起き、とネックにはいろいろと不具合があります。このような状態がおきても決して諦めないでください。直りますというより、直します。

ネックアイロン

マルチレイヤー塗装エイジド加工

最近ちまたで流行りのマルチレイヤー塗装にリフィニッシュの依頼が来ました。塗装後はエイジド加工をしてVintage風に仕上げてほしいとのことで、スタートです。

マルチレイヤーとは、出来上がったカラーの上から重ねて違うカラーを塗るやり方です。昔、F社で塗装の不良や、木目が悪いなどの理由でそういったギターが存在していたみたいです。塗装のやり直しは、一回塗装を剥がさないとならないので、マルチレイヤーにした方が、効率が良く早いです。新品のギターの出来あがりはマルチレイヤーなのかはわからないが、使っていくうちに塗装が剥がれて初めて中のカラーが顔を出して分かります。最近流行りのマルチレイヤーは、はじめから中のカラーを見せるお洒落な感じを出しています。それを出すバランスや量は施す人のセンスにかかってると思います。

Before
表面を研磨
下地処理後イエロー外側ブラックと内側オレンジでその上にラッカークリア塗装
サンバーストの上にラッカーホワイト塗装
クリームカラー塗装
エイジド加工表
エイジド加工裏
マルチレイヤー・エイジド完成

ネック元起きネックアイロン

元起きとは、アコースティックギターによく見られ、ネックの付け根(ボディとネックが接合している部分)からくの字に純反りしていることを言い、12フレット付近の弦高が高くなります。この状態ですと、トラスロッドの調整では直らないです。そんな時にネックアイロンの出番です。アコースティックの元起きの場合はエレキギターの時と違うクランプを使います。

ネック元起き修理

締めるトルクや温度と時間は、そのギターの状況によって調整します。

弦を張りっぱなしにして、そのまま放置状態にしているギターが比較的にネックの元起きが起こりやすいみたいです。このようなことが起きましたら、ご相談ください。

ロッドいっぱいにネックアイロン

これ以上トランスロッドが回らないぐらいいっぱいなのに、まだネックが順反りしているギターをよく見ます、今回修理依頼のギターもその悩みを抱えていた方からです。こういったギター は10フレット辺りで弦高が高くなっているので、すごく弾きづらいですね!お客様も諦めていた時、エムジーズが以前にも投稿したブログの記事(ネックアイロンの出番)を見てこんな状態でも直せるんだと思って、ご依頼されたみたいです。

ネックアイロン

トラスロッドをフリーにして、ヒーター内蔵のネックアイロンをセッティングします。この時にネックの一番反っているところを頭に入れて、両端に置くスペーサーの高さとU型クランプの位置と締め具合とヒーターの温度調節などを調整してやります。この辺は経験がモノを言う作業です。

下がった弦高

トラスロッドをフリーにしてから、ネックを逆反り状態にして矯正するので、ネックアイロンを外した時の戻りも考えてやります。ネックアイロンを外した時にほぼストレートになったので、成功です。弦を張った時に、弦の張力でネックが少ししなるのでトラスロッドを締めて完成です。これでトラスロッドが効くようになります。弾きやすさが戻りました。

重要なナットワーク

ギターやベースの弾きやすさにも影響する重要なパーツのひとつナット!このナットに弦が乗っかっている溝の高さと幅と間隔が重要なのです。よく売られているナットに初めから溝が切ってあるナットを買ってそのまま付けて完了と思っている人がいますが、これだとローフレットの弦高が高く弾きにくいですね!

溝が切ってないナットは、あらかじめギターのナット幅に合わせてヤスリで面一になるまで削ります。面一になったらナットを接着します。接着剤が乾いたら、専用のゲージでギターだったら1〜6弦の位置にシャープペンで線を付けます。そのシャープペンの位置に仮溝を目立てヤスリで削ります。

仮溝削り

あとは、弦を張り各弦の位置を基本に、弦に合う幅と1フレットとの間隔が0.5mmぐらいになるように、ナットファイルで削っていきます。ナットの削る深さは、削っては弦を溝にはめてを何回も繰り返して、ベストの位置を決めます。これで、弾きやすさが変わります。溝が高いとFコードを押さえるのが大変なくらい弾きにくくなります。そのあとは、角を丸く整形していきます。

溝切り後上
溝切り後前

ナット交換に必要なヤスリはコチラ!

ナットファイル

フラットマンドリンのネックアイロン修正

トラスロッドが行き着いてもう回らない状態です。トラスロッドを緩めてフリーにしネックアイロン修正機で、ネックを逆反りになるようにブロックを調整します。温度とかける時間は様子をみながらやります。これは、温度を上げすぎて時間をかけすぎると、ネックが痩せるのでフレットの角がネックより出てきて手が引っかかってしまいます。ネックの木の性格にもより、すぐ曲がってしまう木となかなか曲がらない木がありますので、その時に応じて変えます。

ネックアイロン修正

アイロン修正は成功して、ネックは真っ直ぐになりましたが、フレットの所々減っていたのでフレットのすり合わせもしました。

フレット擦り合わせ後

ここまでやり、弦高を下げたセッティングができ弾きやすくなりました。

ネック折れ修理塗装込

ネック折れ

このギターは、ネックとヘッドの間にヒビが入っていますが、弦を張った状態でチューニングすると、このヒビ割れの隙間が開いてきます。接着圧着したあとネック裏の塗装が剥がれているので、同色での塗装も依頼を受けました。

写真は撮るのを忘れていましたが、このギターはネック裏にボリュートがあるので、専用治具(自作)で接着圧着です。2〜3日乾かして専用治具を外しネック裏、ヘッド裏の塗装を剥がします。

下地塗装

綺麗に塗装が剥がれたので下地塗装からしていきます。ヘッド裏にシリアルナンバーとMADE IN USAの刻印があるので、消えないように気をつけます。色はシースルー系のワインレッドですが、古っぽいダーク系にしてボディの色に合わせます。

色付け1
色付け2

色付けが終わったら、飴色クリアー塗装をして古っぽい感じにしていきます。その後クリアー塗装を何回か重ねて乾燥させます。

クリアー塗装

1週間乾燥後、水研ぎ、バフ掛けして完成!ボディが汚れていて光沢もなかったので磨いておきました。ここまでやるやり方だとネック折れはほとんど分からなくなります。

民生ブラックトップレプリカへの道 最終章 配線編

長く連載しましたこの企画(依頼)も最終段階となりました。このギターはオーナーさんが中古で購入されたギターで、前から気になっていた所が配線みたいで、見るからに購入前のオーナーさんが自分でいじったような感じの配線でした。これを元のヒストリック配線に見た目綺麗に戻したいとのことです。性格的に見た目綺麗に仕上げるのですが、それにしてはピックアップの配線がパッツンパッツンで短いです。オーナーさんの了解を経てピックアップの根っこから長い新しいメタルワイヤーに交換です。

before

ハムバッキングピックアップの根っこからの配線交換は、まずピックアップを分解します。カバードなので、カバーとピックアップ本体がハンダ2ヵ所で止まってますので、このハンダをノミで切断してカバーを外します。そしてテープを剥がしポールピースのネジを緩め、ボビンをはずします。そうするとボビン下に配線のアースがハンダしてあります。こハンダを取りHOTのハンダも取り古い配線が外せます。あとはこの逆で新しい長い配線と交換しハンダします。細いピックアップのコイルを切らないよう慎重に!

ハンダ切断
切断後
古い配線外し
テスターチェック
カバーと本体ハンダ付け
配線交換後

ここまでできたら、あとはトグルスイッチからのの配線をボディに通して、ピックアップをボディに取り付けて、ポットにハンダしていきます。オーナーさんから理想の写真をもらったので、その通りに忠実に再現させてもらいました。

トグルスイッチ配線
ポット配線

いかがだったでしょうか?音も変わったと思いますが!ご依頼者様ありがとうございました。隠れて他人が見てもわからない所ですが、こだわることとそれを綺麗に仕上げるということは大事ですよね!何よりも気持ちが違うと思います。また何かございましたら宜しくお願いいたします。