LP59 Historic リフ〜エイジング

以前のブログでスラッシュのジェシカ・レプリカの記事を見られて、お問い合わせがありました。カラーはお客様のご指定カラーでいただき、エイジング感はLINEのやり取りで何回も写真を送ったりして決めていきました。最近、ギターも高くなりましたので、今お持ちのギターをお好みのカラー、エイジングをして楽しむ方が増えています。その中でもレスポールのご依頼が多いです。

まずは、ボディトップの塗装を剥がし、ブラウンステインを着色してサンディングして虎目部を濃くさせます。

before
ブラウンステイン着色

次は、シーラーにイエローステインを混ぜ色を付けていきます。

イエローシーラー

続いて調色したグラウンをバーストして、グリーンミスト、飴色クリアーを吹いてその上にクリアーを重ねていきます。

バースト〜クリアー

今回はヴィンテージ風のご希望で、元々このギターは艶有りのグロスフィニッシュでいい感じにアニリンダイの退色がありましたので、ボディトップ以外を半艶消しのオーバーラッカーでフィニッシュすることにしました。

半艶消しクリアオーバーラッカー

塗装が乾きましたら、スラッシュレプリカの時のようにイメージのウェザーチェックをクリアシートにスキャンしてそれに沿ってカッターで傷を付けていきます。今回はマーフィーラボのギターをスキャンしました。

イメージウェザーチェックをスキャン

次に傷になった線に色を入れて、ボコボコになった線をなだらかにする為クリアーを吹きます。

傷に色を入れた後クリアー吹き

塗装が乾いたら、バックル傷、打ち傷、打痕、スレ、汚れなどのエイジング加工をします。これは、その個体により色々とやり方が違いますので、全体を見ながら時間をかけてやります。

トップのエイジング
バックのエイジング

ヴィンテージ風に仕上がるように、質感なども考えてやります。時間をかけて完成です。

セットアップ完了

Navigator LP リフ〜エイジング

Navigatorの限定レスポールモデルの塗装を全部剥がして、ボディトップ、ヘッド表面以外をダークなアニリンダイで塗り、ボディトップはヴィンテージ・タバコサンバーストで塗装して、全体的にウェザーチェックとエイジド加工でヴィンテージ感を出しました。

Before

まず目止めベースにレッドとブラウンのアニリンダイを混ぜてマホガニーの導管に摺り込むように塗ります。

アニリンダイフィラー

ボディトップはイエローシーラーを塗り、ダークブラウンでバーストをかけます。その後ギター全体にクリアーを重ねて、トップコートに半艶消しクリアーを吹き乾燥させます。

タバコサンバースト

塗装が乾いたら、エイジング加工をしていきます。急冷でウェザーチェックを付け、スクレーパーなどで傷を付けたり、特殊工具で打痕を付けたり、サンドペーパーで塗装を剥がしたり、塗装が剥がれた部分に色を入れたりします。

ボディトップエイジング
ボディバックエイジング

ジョーペリー所有のレスポールをイメージに仕上げました。本物に近い仕上がりになったと思います。

ジョーペリー・レスポール

Flying V シルバーバーストにリフィニッシュ

Gibson ’83 Flying V ブラウン・カラーを80年代に存在したシルバーバーストにリフィニッシュです。

before

まず、オールマホガニーですので、同感を埋める為目止めベースを塗り込みます。目止めベースには泥が入っていますので、この泥が導管に入り込み凹凸を無くしていきます。フィニッシュがシースルー系ですと、この目止めベースにカラーステインやカラーのアニリンダイを混ぜて使いますが、今回は塗り潰しなのでそのままの色でシンナーで薄めて使いました。

次にサンディングシーラーで表面が平らになるまで、塗り重ねては乾かして削り、塗り重ねては乾かして削りを繰り返して平らにしていきます。

下地〜中塗り

次にシルバーを吹きます。シルバーはシルバーの細かい砂が塗料カップの中で沈澱してしまいますので、スプレーガンのうがいをしたり、塗料カップを振ったりして混ぜながら吹きます。メタリック系は粒子の配列を整える為、スプレーガンの吹き方も変えてやらなくてはなりません。あと、吹いた後はそこら中にメタリック粒子が飛び散っていますので、次の塗装に影響が出ないように掃除もしっかりしなくてはなりません。

シルバー塗装

シルバーバーストのご依頼ですので、トップ、バック、サイド、ネック、ヘッドサイドにブラックのバーストをかけていきます。

バースト塗装TOP
バースト塗装BACK

ヴィンテージカラーがイメージでしたので、この後飴色を吹きます。

飴色塗装

次にクリアーを重ね艶を出し、乾かします。

after

パーツを戻して組み上げ、弦を張り調整して完成です。懐かしさのある80年代仕様が再現できたと思います。

3Tサンバースト塗装2連チャン

3トーンサンバーストにリフィニッシュというご依頼が珍しく2件続きました。ブラックとイエローの間にレッドが入る3トーンサンバーストも色々とパターンがあります。イエローの後にブラックを先に塗りその後レッドを塗るパターンやイエローの後にレッドを塗りその後ブラックを塗るパターンがあります。それと、ブラックとレッドの幅を狭くしたり、レッドの幅を広くしたりなどいろいろとやり方があります。今回は、レッドの幅を広くというご要望で行いました。

塗装剥がし

下地塗装

イエロー塗装
レッド塗装

今回のご依頼はレッドの幅広というご要望でしたので、レッドを先に塗りました。

ブラック塗装
完成

クリアーを重ねて乾かして磨いて3トーンサンバースト1本完成です。

塗装剥がし
イエロー塗装
レッド塗装
ブラック塗装
完成

クリアーを重ねて乾かして、磨いて3トーンサンバースト2本目完成です。

Tokai Les Paulをオールラッカーにリフィニッシュ

物価の高騰などで最近楽器がすごく値上がりしています。フェンダー、ギブソンなどの輸入楽器は尚更円安の影響でカスタムショップ製だと3桁万円なんてギターが増えてきています。こんなにギターやベースが高くて買えないので、今所持しているギターやベースを希望のラッカーカラーにリフィニッシュして楽しむ方が増えてきています。今回はTokaiでもレスポールカスタムの上位機種です。Tokaiの上位機種といっても塗装に関してはポリウレタン塗装でトップコートのみラッカーなので、これをオール・ニトロセルロースラッカーにリフィニッシュのご依頼です。ヘッドのロゴ、インレイ部分はオーバーラッカーで、深さが浅いシリアルナンバー刻印とMADE IN JAPANのスタンプは極力残す方向で進めました。

Tokai Les Paul Top
Tokai Les Paul Back
Tokai Les Paul Head Top
Tokai Les Paul Head Back

塗装を剥がしてわかりましたが、このモデルは国産の上位機種だけに木も厳選された良い材質を使っているのがわかると思います。この機種はネックをディープジョイント、パーツにもこだわりがある素晴らしい一品です。

マホガニー目止め

まず、目止めベースを摺り込ませてマホガニーの導管を埋めます。あと全体にサンジングシーラーを塗って乾かしサンディングしてを繰り返して表面を平坦にして行きます。

サンジングシーラー塗り

表面が平坦で綺麗になったら、バインディングにマスキングをしてラッカーブラックを塗ります。

ラッカーブラック塗装
ラッカーブラック塗装

バインディングのマスキングを外して、クリアーを重ねて行きます。最終的にトップコートをご依頼どおりの少し艶を抑えた半艶で塗りました。

トップコート塗装

自然乾燥させて塗装は完了です。

ラッカーリフィニッシュ完成

パーツを元に戻して、弦を張り調整をして完成です。ラッカーで高級感あり、カスタムはやはりゴールドパーツにブラックがかっこいいですね。漆黒に輝く名器です!

ネックねじれ修理

ネックねじれ

写真は60年代ES-335をアンプに立て掛けて、ヘッド上から下に見下ろして撮ったところです。ヘッド平らな面が左下に傾いているを確認できると思います。これは完全にネックの付け根から徐々にねじれています。こうなりますと、ネックを順反りにして弦高をかなりあげなく弾き辛いこと間違いなしです。こういった不具合でもネックアイロンにて直ります。

ネックアイロンセット指板側
ネックアイロンセットヘッド側

スペーサーを使ってネックアイロンをセットしクランプを適度なトルクで締めていきます。ネッアイロンをかけるサーモが効く温度と時間は、今まで取ってきたデータを参考にして決めます。

ねじれ修理完了

写真でもわかりますが、ボディトップ面に対して並行になりました。1〜2週間ギターハンガーに吊るしておきましたが、ねじれていた時の状態に戻ることはありませんでした。あとは、フレット擦りあわせて完成です。このようなことで、お悩みの方も直りますので、ご安心ください。

スラッシュ愛用Jessicaのレプリカ製作

このプロジェクトは1年前から始まりました。スラッシュ愛用の88年製レスポールスタンダードJessicaを再現して欲しいという依頼です。あまり資料がなく見えない所は想像で、資料でわかる所は忠実に再現をこころがけました。本人の物はかなりハードレリックなので、思いきってやりました。あとカラーの再現も基本サンバーストで、オレンジ色に焼けた感を出すのに考えて調色しました。

このギター元々の色はワインレッドで、このトップの塗装剥がしから始めました。

before

塗装はまず、薄いブラウンを基調としたサンバーストを塗りました。サンバーストはあまりサンバーストをハッキリさせない感じですね。本人のギターもトップがスリーピースですので、スリーピースがハッキリするように、メイプルの繋ぎ目を片方だけマスキングをして濃くしました。

サンバースト塗装
weather check
weather check

バインディングもクリアーが色焼けたした感じを出す為、全体を飴色クリアーを吹きました。この飴色クリアーを吹いて最終的なカラーになるように計算して色重ねをしないとなりません。

ウエザーチェックは現物の写真を頼りに、クリアーのマスキングシートでテンプレートを作りその線に沿ってカッターでクラックを付けていきました。

aged top

焦げや傷や打痕は特殊工具を使い、現物のように付け、塗装の一部を剥がし濃い色のステインで木に染み込ませました。

aged back

バックのバックル傷やネック裏は、かなり広範囲に塗装部を剥がしました。

aged back
slash jessica
slash jessica

slash jessicaの完成です。現物にかなり近づけたと思います。NETを見るとjessicaのレプリカは色々と出ていますが、それらよりも近いのではないのでしょうか。

オールゴールド・レスポール

レスポールでゴールドというと、ゴールドトップを思い浮かべますが、50年代にレアなオールゴールドが存在しました。ゴールドを表現するには、ブラスパウダーといい酸化して錆びる金粉を使います。ヴィンテージ・ゴールドでよく見るクリアー塗装が欠けた部分が、緑色に見えるのがブラスの錆びたところです。国産ギターのゴールドメタリックは、シルバーメタリックをイエローに色付けしているので、それらとはブラスパウダーの色の表現力が違います。しかし、このブラスパウダーはクリアーに混ぜてスプレーガンで吹くのですが、吹いた後は塗装ブース周りに金の粉が舞ってしまい掃除が大変で、何日間はこの金の粉に悩まされます。


プラスパウダー
ブラスパウダー
クリアラッカー+ブラスパウダー
オールゴールドレスポール

全体にゴールドを塗った後は、飴色クリアーを塗ってビンテージ感を調整して行きます。あとはクリアーを重ねて光沢をつけて行きます。

オールゴールドレスポール
オールゴールドレスポール

艶消しマルチレイヤーエイジド加工

潰しのラッカーブラック塗装を全部剥がして、下地からラッカーでシーラー→艶消しイエロー→バースト→艶消しブラックのマルチレイヤー塗装です。

施工前
塗装剥がし後
艶消しイエロー塗装
バースト塗装
マルチレイヤー艶消しブラック塗装
エイジド加工表
エイジド加工裏

塗装後は、かなり使い込まれたような傷や塗装の剥がれなどを再現された加工をしました。

ギター塗装繁忙期

2022年11月からギターのリフィニッシュの依頼が多くなり、ピーク時にはお陰様で10本にもなりました。特にレスポールのサンバーストが多く、これもブログに掲載して記事の影響ではないかと思います。改めてありがとうございます。そしてこの繁忙期にご依頼されて納期の遅れが出て大変申し訳ございませんでした。ご依頼のイメージどおりに仕上げる為でもありました。今後も妥協を許さず努力していきますので、よろしくお願いいたします。

下の写真はリフィニッシュ完了待ちのケースです。

リフィニッシュ完了待ちのケース達