昨今の物価高騰の影響で楽器もかなり値上がっていて、GibsonやFenderもびっくりするような値段になっています。そこで新しいギターを買わずに、今まで所有のギターを塗り替えて好みのカラーにして楽しむ方が増えてきています。
今回は国産でも人気のあるTokaiギターですが、ウレタン塗装でトップコートのみラッカーのモデルで、このギターをオーナー様からのご要望で、好みのヴィンテージサンバーストカラーに変更をオールニトロセルロースラッカーで塗り替えました。

まずは、パーツを全て外して指板にマスキングをして塗装を剥がして行きます。このようなホローボディーの場合ヒートガンで熱を加えるとラミネートで接着しているボディが剥がれる可能性があるので、サンディングで剥がします。
このギターは国産ですが、虎杢がすごく出ています。国産でもグレードにより厳選された木材を使われているようです。

次にFホール内に塗料が塗られないように、Fホール内に新聞紙詰め塗装前の準備をします。
準備が出来ましたので、塗装工程に入ります。ネックのマホガニー材は導管が有りますので、最初にブラウンのフィラーで道管を埋めます。乾きましたら、全体を吸い込み止めシーラーを塗ります。ここで、塗装の弾きトラブルがないことを確認します。木地に脂分が残っていますとその部分だけ塗装が乗りませんので、仕上げに影響します。

次にサンディングシーラーを塗り乾かしてからサンディングしてを繰り返して表面を平坦にして行きます。

表面の凸凹が無くなったら、カラー塗装工程に入ります。セミアコースティック、フルアコースティック、レスポールなどはバインディングがありますので、このバインディングに色が染みないようバインディングにマスキングをします。この部分はマスキングテープを紙にしてしまうと溶剤が紙に染み粘着部が溶けてしまうので、ポリマーフィルム・ラバー系粘着剤のマスキングテープを使います。
サンバーストカラーは、シースルーイエローから塗って行きます。レスポールスタンダードなど虎目のギターはシーラーにイエローを混ぜて下地から色を付ける場合もありますが、下地塗装段階でシーラーが弾く可能性もある為、ここでイエローを塗ります。

次にネックの色が薄いので、木目が見えるブラウンで塗ります。

次は、ボディにブラウンでバーストをかけて行きます。バーストはトップ、サイド、バックをバランス良く塗ります。


これでサンバーストカラーが決まりましったので、バインディングのマスキングを外して全体的に飴色クリアーでヴィンテージ風塗装が焼けた感を出します。


あとはクリアーを重ねて行きますが、仕上がりがヴィンテージ風の艶が弾けた光沢の選択がありましたので、トップコートを艶70%に調整して塗ります。艶0%で艶消し、艶100%でグロスフィニッシュになります。

あとは塗装を乾燥させて塗装工程は完了です。塗装面の乾燥期間は時期にもよりますが、ラッカーですので完全乾燥に1ヶ月近くかかります。
塗装が乾いたら、ウェザーチェックを入れて行きます。ウェザーチェックの付け方はカッターと急冷却の2通り有り、今回は急冷却でやりました。冬の寒い時期は、温度調整したヒートガンで温め後、素早く急冷却させます。するとパリパリとクラックが入って行きます。クラックの入り方はその状況によりいろいろですが、冷却し過ぎは塗装がクラッシュしますので、経験とセンスが必要かと思います。


このギターは、ご依頼時パーツを外して気が付きましたが、配線やパーツが変えられていましたので、ピックアップを含めアッセンブリーを全交換することになりました。セミアコ、フルアコなどポット、トグルスイッチ、コンデンサー、ジャックパーツ配線は、あらかじめ外で半田付けします。配線の長さに注意して組みます。

組んだアッセンブリーを針金を使いギターの中に入れて戻します。
あとは、他のパーツも戻し弦を張り調整をして完成です。


今回はお客さまのご希望通りヴィンテージ風な仕上がりになり大変喜んでおられました。ありがとうございました。


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