3Tサンバースト塗装2連チャン

3トーンサンバーストにリフィニッシュというご依頼が珍しく2件続きました。ブラックとイエローの間にレッドが入る3トーンサンバーストも色々とパターンがあります。イエローの後にブラックを先に塗りその後レッドを塗るパターンやイエローの後にレッドを塗りその後ブラックを塗るパターンがあります。それと、ブラックとレッドの幅を狭くしたり、レッドの幅を広くしたりなどいろいろとやり方があります。今回は、レッドの幅を広くというご要望で行いました。

塗装剥がし

下地塗装

イエロー塗装
レッド塗装

今回のご依頼はレッドの幅広というご要望でしたので、レッドを先に塗りました。

ブラック塗装
完成

クリアーを重ねて乾かして磨いて3トーンサンバースト1本完成です。

塗装剥がし
イエロー塗装
レッド塗装
ブラック塗装
完成

クリアーを重ねて乾かして、磨いて3トーンサンバースト2本目完成です。

Tokai Les Paulをオールラッカーにリフィニッシュ

物価の高騰などで最近楽器がすごく値上がりしています。フェンダー、ギブソンなどの輸入楽器は尚更円安の影響でカスタムショップ製だと3桁万円なんてギターが増えてきています。こんなにギターやベースが高くて買えないので、今所持しているギターやベースを希望のラッカーカラーにリフィニッシュして楽しむ方が増えてきています。今回はTokaiでもレスポールカスタムの上位機種です。Tokaiの上位機種といっても塗装に関してはポリウレタン塗装でトップコートのみラッカーなので、これをオール・ニトロセルロースラッカーにリフィニッシュのご依頼です。ヘッドのロゴ、インレイ部分はオーバーラッカーで、深さが浅いシリアルナンバー刻印とMADE IN JAPANのスタンプは極力残す方向で進めました。

Tokai Les Paul Top
Tokai Les Paul Back
Tokai Les Paul Head Top
Tokai Les Paul Head Back

塗装を剥がしてわかりましたが、このモデルは国産の上位機種だけに木も厳選された良い材質を使っているのがわかると思います。この機種はネックをディープジョイント、パーツにもこだわりがある素晴らしい一品です。

マホガニー目止め

まず、目止めベースを摺り込ませてマホガニーの導管を埋めます。あと全体にサンジングシーラーを塗って乾かしサンディングしてを繰り返して表面を平坦にして行きます。

サンジングシーラー塗り

表面が平坦で綺麗になったら、バインディングにマスキングをしてラッカーブラックを塗ります。

ラッカーブラック塗装
ラッカーブラック塗装

バインディングのマスキングを外して、クリアーを重ねて行きます。最終的にトップコートをご依頼どおりの少し艶を抑えた半艶で塗りました。

トップコート塗装

自然乾燥させて塗装は完了です。

ラッカーリフィニッシュ完成

パーツを元に戻して、弦を張り調整をして完成です。ラッカーで高級感あり、カスタムはやはりゴールドパーツにブラックがかっこいいですね。漆黒に輝く名器です!

ネックねじれ修理

ネックねじれ

写真は60年代ES-335をアンプに立て掛けて、ヘッド上から下に見下ろして撮ったところです。ヘッド平らな面が左下に傾いているを確認できると思います。これは完全にネックの付け根から徐々にねじれています。こうなりますと、ネックを順反りにして弦高をかなりあげなく弾き辛いこと間違いなしです。こういった不具合でもネックアイロンにて直ります。

ネックアイロンセット指板側
ネックアイロンセットヘッド側

スペーサーを使ってネックアイロンをセットしクランプを適度なトルクで締めていきます。ネッアイロンをかけるサーモが効く温度と時間は、今まで取ってきたデータを参考にして決めます。

ねじれ修理完了

写真でもわかりますが、ボディトップ面に対して並行になりました。1〜2週間ギターハンガーに吊るしておきましたが、ねじれていた時の状態に戻ることはありませんでした。あとは、フレット擦りあわせて完成です。このようなことで、お悩みの方も直りますので、ご安心ください。

スラッシュ愛用Jessicaのレプリカ製作

このプロジェクトは1年前から始まりました。スラッシュ愛用の88年製レスポールスタンダードJessicaを再現して欲しいという依頼です。あまり資料がなく見えない所は想像で、資料でわかる所は忠実に再現をこころがけました。本人の物はかなりハードレリックなので、思いきってやりました。あとカラーの再現も基本サンバーストで、オレンジ色に焼けた感を出すのに考えて調色しました。

このギター元々の色はワインレッドで、このトップの塗装剥がしから始めました。

before

塗装はまず、薄いブラウンを基調としたサンバーストを塗りました。サンバーストはあまりサンバーストをハッキリさせない感じですね。本人のギターもトップがスリーピースですので、スリーピースがハッキリするように、メイプルの繋ぎ目を片方だけマスキングをして濃くしました。

サンバースト塗装
weather check
weather check

バインディングもクリアーが色焼けたした感じを出す為、全体を飴色クリアーを吹きました。この飴色クリアーを吹いて最終的なカラーになるように計算して色重ねをしないとなりません。

ウエザーチェックは現物の写真を頼りに、クリアーのマスキングシートでテンプレートを作りその線に沿ってカッターでクラックを付けていきました。

aged top

焦げや傷や打痕は特殊工具を使い、現物のように付け、塗装の一部を剥がし濃い色のステインで木に染み込ませました。

aged back

バックのバックル傷やネック裏は、かなり広範囲に塗装部を剥がしました。

aged back
slash jessica
slash jessica

slash jessicaの完成です。現物にかなり近づけたと思います。NETを見るとjessicaのレプリカは色々と出ていますが、それらよりも近いのではないのでしょうか。

オールゴールド・レスポール

レスポールでゴールドというと、ゴールドトップを思い浮かべますが、50年代にレアなオールゴールドが存在しました。ゴールドを表現するには、ブラスパウダーといい酸化して錆びる金粉を使います。ヴィンテージ・ゴールドでよく見るクリアー塗装が欠けた部分が、緑色に見えるのがブラスの錆びたところです。国産ギターのゴールドメタリックは、シルバーメタリックをイエローに色付けしているので、それらとはブラスパウダーの色の表現力が違います。しかし、このブラスパウダーはクリアーに混ぜてスプレーガンで吹くのですが、吹いた後は塗装ブース周りに金の粉が舞ってしまい掃除が大変で、何日間はこの金の粉に悩まされます。


プラスパウダー
ブラスパウダー
クリアラッカー+ブラスパウダー
オールゴールドレスポール

全体にゴールドを塗った後は、飴色クリアーを塗ってビンテージ感を調整して行きます。あとはクリアーを重ねて光沢をつけて行きます。

オールゴールドレスポール
オールゴールドレスポール

艶消しマルチレイヤーエイジド加工

潰しのラッカーブラック塗装を全部剥がして、下地からラッカーでシーラー→艶消しイエロー→バースト→艶消しブラックのマルチレイヤー塗装です。

施工前
塗装剥がし後
艶消しイエロー塗装
バースト塗装
マルチレイヤー艶消しブラック塗装
エイジド加工表
エイジド加工裏

塗装後は、かなり使い込まれたような傷や塗装の剥がれなどを再現された加工をしました。

ギター塗装繁忙期

2022年11月からギターのリフィニッシュの依頼が多くなり、ピーク時にはお陰様で10本にもなりました。特にレスポールのサンバーストが多く、これもブログに掲載して記事の影響ではないかと思います。改めてありがとうございます。そしてこの繁忙期にご依頼されて納期の遅れが出て大変申し訳ございませんでした。ご依頼のイメージどおりに仕上げる為でもありました。今後も妥協を許さず努力していきますので、よろしくお願いいたします。

下の写真はリフィニッシュ完了待ちのケースです。

リフィニッシュ完了待ちのケース達

消さないシリアルナンバースタンプ

ギブソンのカスタムショップ製ビンテージタイプのギターは大体シリアルナンバーをスタンプで打って、その上にクリアー塗装をしています。リフィニッシュの場合前の塗装を剥がしますが、その際サンディングをしますとシリアルナンバーが消えてしまいます。これを消さないで残せます。

シリアルナンバー

ご依頼のギターは、オールブラックのスタンダードで、ヘッドの表とトップのみブラックを残しそれ以外をナチュラルにするリフィニッシュです。ヘッド裏のシリアルナンバーはホワイトスタンプです。まずシリアルナンバー周りの塗装を剥がします。できるだけ数字の際まで削ります。

シリアルナンバー残し

目止めを塗った後、シリアルナンバーの数字だけ盛り上がっていますので、段差が無くなるまでサンジングシーラーを吹いてはサンディングしてを繰り返して、平坦にします。

サンジングシーラー吹き

その後は、クリアーラッカーを重ねて、磨いて出来上がりです。今回はナチュラルカラーで、シースルー系カラーでしたらシリアルナンバーは残せますが、潰しのカラーにリフィニッシュだと残念ながら消えてしまいます。

クリアーラッカー吹き

ネックアイロン修正のご依頼

最近「トラスロッドを締め切っても、まだネックが反っている」、「トラスロッドが無く調整できないギターで反っている」などのネックに関するお困りの方からのご依頼が多いです。今まで何度か当工房のブログでネックアイロンの記事を載っけてからすごく増えていますね。ネックが順反りの場合10フレットあたりで、弦とフレットの距離が空いて弾きづらくなります。いわゆる弦高が高くなりますので、だいたいの方はブリッジのサドルを下げて弦高を低くします。このやり方ですと、10フレットの弦とフレットの距離は短くなりますが、最終フレットの弦とフレットの距離は10フレットあたりの距離より低くなるので、12フレットあたりから17フレットあたりまでで、ビビったりチョーキングをすると音がつまってサスティーンが無くなったりします。トラスロッド調整で反りが直らない場合は、曲った木をネックアイロンを使い強制的に熱を加えて逆に曲げて固めていきます。何日か経ってネックアイロンを外すと圧がなくなり多少戻りがあるので、そのことも計算に入れてやります。

写真は今までのネックの反りにネックアイロンで修理した実例の中のほんの一部です。実際にはこれ以上ありますが、順反り、逆反り、1弦側と6弦側の反り方が違うねじれ、ボディの付け根から曲がる元起き、とネックにはいろいろと不具合があります。このような状態がおきても決して諦めないでください。直りますというより、直します。

ネックアイロン

究極のヴィンテージ・サンバースト塗装

最近では、メールでのお問い合わせも増え、大体はメールのやり取りで、遠方から修理やカスタマイズや塗装の楽器が送られてきます。中には北海道からのお客様もいます。で、今回のご依頼も遠方からのお客様で、1回足を運んでいただきご来店してご依頼内容を話していただきました。大変ありがたい限りです。ご依頼内容は、トップのみのリフィニッシュ、エイジド加工、ウエザーチェックを入れるという内容です。送られてきたギターは以前リフィニッシュ、エイジド加工、ウエザーチェックを入れてもらったギターみたいなのですが、色が明るすぎてあまり気に入っていなかったようです。この写真の感じも悪くは無いのですが、お客様の理想のカラーがあったのです。

Before

その理想のカラーは、The Beauty Of The Burstの本に載っているこのカラーです。ウー渋いですね〜。わかりました、このカラーや雰囲気に近づけてみます。

見本写真

この見本のギターは’59なので、本の出版の時期からすると50年ぐらいは経っています。しかも綺麗で状態が良いので、自然の劣化だけでここまで保たれているのではないかと思います。自然の焼けや変色も考えて調色していきます。虎木の模様部分は濃いオレンジに近い茶色なので、生地に調色したステインをすり込んで行きます。

調色したオレンジステイン塗り込み

乾いたらサンディングをして表面だけ色を取ります。すると虎の模様部分だけ色が残ります。

サンディング

次に黄色のステインを混ぜたシーラーを塗ります。これで、虎の模様がはっきりしてきます。

シーラーに顔料イエローを混ぜスプレー

次に茶色ステインでバーストを吹いて行きます。見本のバーストをイメージして吹きました。ヴィンテージぽさを出す為と、ボディサイドとバックとネックはすでに光沢があまり無かったので、トップコートのクリアーは半艶けしを選びました。

バースト、トップコート塗装

ウエザーチェックは、カッターでの横スジと急冷のランダムなひび割れをブレンド。傷などのエイジド加工は、あまりヘビーに入れなくライトな感じで入れました。

エイジド処理&ウエザーチェック施工

The Beauty Of The Burst完成です。イメージ通りにできご依頼のお客様も喜んでいただきました。ご依頼いただきありがとうございました。

究極のヴィンテージ・サンバースト完成