ニルバーナのカートコバーンといえばムスタングやジャガーですが、1995年から発売したカートコバーンモデルJagstangもありました。このモデルはカートコバーンとフェンダーの共同開発でしたが市販される前に本人が亡くなってしまった為長く生産はされていないみたいです。このモデルの発売前にプロトタイプが本人に渡されましたがほとんど使用されずに1994年に亡くなってしまったという話があります。そう考えるとRAREなモデルですね。今回のギターは状態が良いとは言えないボコボコボロボロ状態ですが、このギターはご依頼されたお客様の思い入れのギターですので、綺麗にして再生させます。

<再生リスト>傷、打痕、割れがあるボディの表面を平らにして、ショッキングピンクにラッカーでリフィニッシュ、傷多いネックのヘッド表面だけをオーバーラッカーで綺麗に、傷や錆でボロボロなコントロールパネルを新しい物に交換、ピックアップの交換、ボロボロなピックガードは交換用のパーツとしては存在しませんので型から製作してテンプレートを作りパール柄の平板をルーターでカットした物に交換、その他錆びたネジを交換。
まずは、ボディの塗装を剥がします。頑固なポリウレタン塗装でしたのでヒートガンを使い古い塗装面を柔らかくし、柔らかくなった塗装面をスクレーパーで剥がしていきます。あまり熱を与え過ぎると焦げますので注意が必要です。
古い塗装が全部剥がれましたら、塗りつぶしのカラーにリフィニッシュなので、へこんでいる部分や深い傷部分をウッドパテで埋めます。ウッドパテが乾きましたら、サンドペーパー荒い番手からサンディングしていきます。この下地の段階が重要で、特にラッカーリフィニッシュの場合はこの時点で残っている傷や打痕は仕上がり時に残りますので、本当に下地が命です。

この後、塗装用治具に装着して下地から塗装していきます。まずは、塗料の吸い込みを防ぐウッドシーラーから塗ります。塗った後表面が毛羽立ちますので、サンドペーパーで取ります。

塗装を乾かしてから、次にサンディングシーラーを何度か重ねて乾かしサンディングペーパーで平らにしてを繰り返します。
この作業を終えて、やっとカラー塗装へと進めます。場合によってはサンディングシーラーを省くこともあります。

カラー塗装はショッキングピンクを塗る前に、発色を良くする為まずホワイトを塗ります。

次にラッカー塗料でショッキングピンクカラーを作ります。ショッキングピンクも色々ありますので木片に作ったカラーを塗装してご依頼されたお客様に確認していただき、レッドカラーとホワイトカラーを2:1で調合しカラーを決定しました。シェルピンクのような薄い色のピンクは、レッドカラーを少量で調合します。ショッキングピンクは娘さんが好きな色のようで、この色に決めたみたいです。

この色の塗料を使いボディ全体に塗って行きます。塗られていない部分が無いか確認しながら塗ります。このようなエッジが丸くなっているボディ形状は、エッジ部分の色が薄くなりがちですので、スプレーガンでその部分を塗る時はスプレーガンを斜めに向けてエッジを狙い吹きます。

その後、インターバルをおきながらクリアーラッカーを重ねていきます。クリアーの厚みが十分確保できましたら乾燥室で乾燥です。ラッカー塗装の場合、硬化剤を使っていない為時間はかけてひたすら自然乾燥です。ギターがだんだんと蘇っていくのが分かり嬉しくなりますね。
塗装が完全乾燥しましたら、ネックポケットと導電塗料が塗られていたキャビティ内、ブリッジアンカー穴のマスキングを剥がします。
次に、ネックポケット内側に付いた塗料をサンドペーパーで削って行きます。これをやらないとネックとジョイントできませんので、削ってはネックを合わせてを繰り返して、スポッと入るまでやります。
そして続いては、塗装面のブツを取り平らにする為耐水ペーパーで水研ぎし、耐水ペーパーでできた傷を消し光沢を出すようにバフ磨きをします。ここまでやりますと、新品時の仕上がりになります。


ボディのリフィニッシュ編はここまでです。このあとはピックガード製作編に続きます。